
通関士
貨物を輸出・輸入する場合は必ず税関に申告して、許可をもらわなければいけない。
ところが、輸出入をする者が直接に税関手続きをとることはできない決まりになっている。
それができるのは、難関の国家試験をパスした「通関士」だけ。
まさに日本の貿易を支えるスペシャリストで、引っぱりだこの超人気。
税関に提出する申告書を作成するのが通関士の仕事。複雑で専門的な知識がもとめられる。一例を紹介しよう。
税関申告はコンピュータ上で行われていて、品物を10ケタの番号で表記するのが決まり。通関士は、世界中で作られたり、利用されるすべての物を番号で分類した「輸出(輸入)統計品目表」を見て、該当する統計品目番号を探し当てる。ところが、この品目番号の決定がけっこう難しい。
例えば品物がICプレーヤーだとする。品目表の索引にはICプレーヤーという項目はない。そこでまず目次から、どの項目に属するかを探す。「レコードデッキ、レコードプレーヤー、カセットプレーヤー、その他の音声再生機(録音装置を自蔵するものを除く)」という項目があるので、そこを探してみる。
するとさらに「硬貨又はディスクを挿入することにより作動するレコードプレーヤー」「拡声器を有しないもの」「自動レコード交換機構を有するもの」「ポケットサイズのカセットプレーヤー」「その他のもの」などと細かく分類された項目がいくつもある。この中から該当する番号をいかに素早く、正確に決定するかが、通関士の腕の見せどころというわけ。
某エアカーゴ会社で活躍する通関士さんは、仕事の面白さをこんなふうに語ってくれた。「これはこっちだろうな、これでいいかなって考えながら品番を探し出して、申告したものが許可になるのは、何度体験してもうれしい。税関の人から“これは文句なし”と言われる書類が作れたときが最高」
通関士の試験は学生でも合格できるが、受かったからといって、すぐに書類は作れない。エアカーゴの会社や商社に就職して、先輩に付きっきりで教えてもらっても、一人前になるまでに1〜2年はかかる。
法律で輸出入が規制されている品物がいくつかあるので、それをチェックするのも重要な仕事。仮りに規制の対象になっている品物であっても、多くの例外が設けられているので、そういった細かいルールも整理して頭に入れておく必要がある。難しく言うと、関税法、関税定率法といった法律をマスターして、はじめて通関士の資格に手が届く。
通関士試験の合格率は約10%という狭き門。それだけに輸出入に関係する商社やメーカー、百貨店などから引っぱりだこの人気。通関士資格を持っていると、それだけで月収は1万〜3万円アップする。