
コンシェルジュ
コンシェルジュ。
あまり聞き慣れない単語かもしれない。
もともとフランス語で「門番」とか、「管理人」を意味するが、今ではすっかりホテル用語。
フロント周辺に常駐して、ホテルゲストのいろいろなリクエストに応える“何でも相談係”のような専門職を指す。
アメリカ系のホテルでは、アシスタントマネジャーという。
たとえば、あなたがパリへ旅行したとしよう。何泊かして、フランス料理にも飽きてしまった。きょうの夕食は中国料理にしたい。でも、どのチャイニーズ・レストランがおすすめなのか、さっぱり見当がつかない…。
そこで頼りになるのがコンシェルジュ。なにしろコンシェルジュというのは情報通だから、待ってましたとばかりニッコリ微笑んで、おいしいチャイニーズ・レストランの2つや3つはすぐに教えてくれるはず。
そのほか、航空券の予約、リコンファーム(予約再確認)、観光案内、劇場や映画館の座席予約、そしてもちろんホテル内の設備案内など、まさに“何でも”の大活躍。特別なゲスト(VIP)のお世話を担当することもある。ちなみに、VIP担当としては別にゲストリレーションズと呼ばれる役割がある。
コンシェルジュのやりがいは、人に頼られ、喜んでもらえることの快感。それは、人と触れ合う面白さでもある。すみずみまでハイテク化、デジタル化され、機能的になる一方の現代ホテルの中で、珍しくアナログ的というか、人間くさい温かさを感じさせるのが、コンシェルジュの存在。デジタル時代だからこそ、よけいに価値がある。
ホテルゲストのいろいろなリクエストに対して、決して「No」と言わないのがコンシェルジュのつとめ。たとえ我がままで無理なリクエストでも、その代わりを用意するとか、融通性がもとめられる。
ということは、ものすごく情報通でなければならないわけで、その仕入れが大変。ホテルに密着し、地元に密着し、各方面で太いコネクションをつくっておく必要もある。俗な言い方をすると、各方面に“顔”がきくといった感じ。とても一朝一夕にはそこまで行けない。
だから、優秀なコンシェルジュはベテランがほとんど。さまざまなホテルの仕事を経験したうえでコンシェルジュの職に就いたとか、あるいはこの道一筋に何十年という人が多い。
それに、情報というのはつねに流動的だから、コンシェルジュの仕事にゴールはない。どこまで行っても勉強、勉強。まるで職人さんの世界。