
ハウスキーピング
いつも控えめで、目立たず、スポットライトを浴びることのない裏方の仕事。
でも、このハウスキーピング部門のスタッフが、施設・サービスすべてを含めたホテル業の屋台骨を、しっかり支えていることは忘れちゃいけない。
快適なホテルライフを演出する“陰の実力者”なんて、けっこう魅力的じゃない?
客室の清掃後の点検や、家具・備品などの維持管理がおもな仕事。また、アイロン、加湿器などさまざまな備品の貸出しや、洗濯物を扱うランドリーサービスも、ハウスキーピング部門の仕事に入る。
ハウスキーピングの原則は“旧態復帰”。つまり、前に客室を使った人が残したゴミや汚れはもちろん、気配や臭いまで、きれいさっぱり落として、元の状態に戻さなければならない。バスタブに水滴ひとつも落ちていてはいけないし、たった1本しか使っていないマッチ箱でも交換しておかなければ落第というわけ。
何につけても“きれいにする”というのは気持ちのいいこと。ハウスキーピングの誇りとやりがいは、まさにこの1点にある。
あなたも知っていると思うけど、あのピーンと張りつめた、シワひとつないシーツとブランケット。あれはどう見ても、ベッドメーキングのプロがやった仕事だ。
ベッドメークの仕上がりを試すために、作業が終わったベッドの上にコインを1枚落としてみる。きっちり仕上がっていれば、コインはピョコンと跳ね上がる――。そのときのささやかな満足感。あなたにも理解できると思う。
正直言って、アカの他人が使った部屋に入るのは、あまり気持ちのいいものじゃない。寝乱れたベッド、びしょ濡れのタオル、灰皿からあふれそうな吸い殻…。でも、それにめげているようじゃ、ハウスキーピングの仕事は務まらない。
チェックアウトからチェックインまでの短い時間、あるいは連泊の宿泊客が外出しているわずかの間に、手早く客室を片付けてしまわなければならないわけだから、これは想像以上に忙しく、大変な作業。例えばベッドメーキングひとつにしても、数分間で仕上げるテクニックを身につけないと、一人前とは言えない。
ハウスキーピングは、ホテルのスタッフとして一度は体験しておくべき仕事。それが将来、他部門に移ったときにも必ず役立つ。回り回って、いずれはハウスキーピングの責任者に任ぜられることだって、あり得るかもしれない。